糖尿病患者さんの災害時のマニュアル No.2


掲載日2016-04-24

インスリンに関連する内容は、No.1に掲載しています。そちらも参照してください。

食事について気をつけること

【超急性期(発生~3日)】

水分を十分取ること!!
とにかく食事をとる!!

 食事量が少なく空腹感が強くなりストレスを増強してしまいます。限られた食事をできるだけよく噛み、時間をかけて食べることで満腹感を最大限得ることができます。時間をかけて食べることにより、血糖の急激な上昇を抑えることもできますので、できるだけよく噛みましょう。

【急性期(4~7日)以降】

水分を十分取ること!!
ゆっくり噛んで食べる
減塩に心掛ける(カップ麺や味噌汁は、お汁を残すことも大切)

支援物資は、どうしても、おにぎり、カップ麺、あんパン・クリームパンなどの菓子パンに代表される配給食は高炭水化物、高エネルギー食です。 これらは重要なエネルギー源ですが、血糖を上げる食べ物でもあります。 ですので食事の目安を覚えることも大切です。

糖尿病のお薬やインスリンが足りないにも関わらず、“せっかく配給されたものを残せない”、食事供給に対する不安の心理からから、“エネルギー過剰と分かっていても、全量を食べてしまう”場合があります。 時には残す勇気、他の人と分けることも必要です。食事の中にたんぱく質を含む食品(肉類や卵類、乳製品類、等)や野菜類がある場合は、それらを先にゆっくりと噛んで食べ、炭水化物を後に食べることで血糖の急激な上昇を抑えることができます。 同時に満腹も最大限得ることができます。

【亜急性期7日~1ヶ月】

なるべく災害前の食事に戻しましょう。主食、主菜、副菜が揃ったいつもの食事を心がけましょう。

災害避難中は、通常より少ない食事が続いていたため、食物に対する吸収が増加しています。またストレスも非常に高くなっています。 これらの心身に及ぼす影響は避難解除後の血糖コントロール、さらに血圧やLDLコレステロールを悪化させるため、糖尿病合併症を進行させる原因となります。可能な限り早い段階で医療施設に行き、適切な検査および栄養指導を受けることが極めて重要です。

糖尿病の薬について気をつけること

~基本的には、平時に、主治医との話し合い確認したシックデイ・ルールと同じく対応すればよいと考えます~ *シックディ・ルールについては別ページで書きます。

注射製剤 (インスリン、GLP1製剤)

詳しくはこちらを >>

飲み薬

SU剤(スルホニルウレア剤)

※( )内はジェネリック商品

商品名:オイグルコン,ダオニール
(オペアミン,グリベンクラミド,セオグルミン、ダムゼール、パミルコン、ブラトゲン、ベンクラート、マーグレイド)

商品名:アマリール
(キョウワクロン、クラウナート、グリクラジド、グリミラン、グルタミール、ダイアグリコ、ルイメニア)

商品名: グリミクロン

 これらの薬の多くは一日の大半に効きます。 食事が摂れないときは、低血糖に注意してください。 その日に摂れそうな食事量を予想して食事が半分なら薬も半量から1/3量に、というぐあいに大雑把に調節してください。

完全休薬のときは、高血糖に注意してください。 薬を完全に休薬せざるを得ないときは「口の渇き」などの高血糖の症状に注意してください。(病歴の長い方は自分の膵臓からのインスリン分泌が少ないと思われます)

高度の低血糖になると,避難所などでは砂糖やブドウ糖がないこともありますので,薬は若干少なめにしておいたほうがいいでしょう。 できたら、この薬を内服している方は、早めに医師や看護師と相談して内服量の調節が必要です。

SGLT2阻害薬

 商品名 フォシーガ スーグラ カナグル ルセフィ デベルザ アプルウェイ ジャディアンス

この薬は食事より、水分量で内服の調節をしてください。低血糖よりは、脱水に注意してください。(この薬は尿から糖を排出することで血糖改善をする薬なので水分が取れないと脱水になりがちです)水分を十分に取れない、車中泊が多くなるようであれば、その間は中止してください。この薬は、休薬しても急に病態が悪化する危険は少ないでしょう。(あせらないで下さい。)この薬のみの方は低血糖の危険は少ないと考えられます。

速効型インスリン分泌促進剤

商品名:ファスティック,スターシス,グルファスト シュアポスト(ナテグリニド)

 これらの薬はSU剤に比べ早く効いて早く効果が消えます。しかし、やはり低血糖のリスクはあるので、食べた量に応じてその都度薬の量を加減してください。食事が半分なら薬は半分から1/3に、若干少なめに服用したほうが安全でしょう。 この薬は、食事量が少ない場合は低血糖のリスクはあります。

DPP4阻害薬

 商品名:ジャヌビア グラクティブ エクア スイニー テネリア トラゼンタ オングリザ ネシーナ ザファテック マリゼブ

食事ができる状況ならば、いつも通りに服用して問題ありません。 この薬は,休薬しても急に病態が悪化する危険は少ないでしょう。(あせらないで下さい。) この薬のみの方は低血糖の危険は少ないと考えられます。

αグルコシダーゼ阻害剤

商品名:ベイスン,グルコバイ,セイブル(アカルボース、ジャミール、ベイスロース、ベグリラート、ベスタミオン、ベルデリール、ベロム、ベンジックス、ボグシール、ボグリダーゼ、ボグリボース)

 この薬は、休薬しても急に病態が悪化する危険は少ないでしょう。(あせらないで下さい。) この薬のみの方は低血糖の危険は少ないと考えられます。

ビグアナイド剤

商品名:メトグルコ グリコラン メデット メルビン, (メトホルミン、ネルビス、メトリオンブホルミン)

 この薬は、休薬しても急に病態が悪化する危険は少ないでしょう。(あせらないで下さい。) この薬のみの方は低血糖の危険は少ないと考えられます。

チアゾリジン誘導体(アクトス)

 この薬は、休薬しても急に病態が悪化する危険は少ないですが、まれに急激な悪化もあるので、食事が少しでもとれるようなら内服してください(あせらないで下さい。) この薬のみの方は低血糖の危険は少ないと考えられます。

配合剤

エクメット リオベル メタクト ソニアス グルベスなど エクメット(エクア+メトグルコ) リオベル(ネシーナ+アクトス)メタクト(メトグルコ+アクトス)は、休薬しても急に病態が悪化する危険は少ないでしょう。(あせらないで下さい。) 低血糖の危険は少ないと考えられます。

ソニアス(アマリール+アクトス)はスルホニルウレア剤(SU剤)であるアマリールが配合されているため、スルホニルウレア剤に即した対応が必要と考えます(スルホニルウレア剤参照

グルベス(グルファスト+ベイスン)は速効型インスリン分泌促進剤であるグルファストが入っているため、速効型インスリン分泌促進剤に即した対応が必要と考えます(速効型インスリン分泌促進剤参照)


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