掲載日: 2016-10-08
市民公開講座「脳卒中最前線」

市民公開講座「脳卒中最前線」

 10月8日(土)、横浜市港南区の港南公会堂において、市民公開講座「脳卒中最前線!!」が行われ、「脳卒中は予防できる!今日からできる予防対策」というテーマでお話しさせていただきました。この話の中で「血糖値スパイク」のお話しをしながら、血糖値を測る機器のビデオを見ていただきました。

 当院では、以前からこの血糖値スパイクに関して、ホームページで掲載しておりましたが、偶然にも同じ日にNHKスペシャルで「血糖値スパイクが危ない」が放映され、この番組の中でもFreeStyleLibre(フリースタイルリブレ)が使われました。当院で作成してきた動画と関連のページをご紹介いたします。

港南公会堂で話す内容の一部をご紹介します

養生訓と血糖値スパイク

まずは腹八分目で有名な江戸時代の養生訓より次の言葉をご紹介します。

●花は半開、酒は微酔、腹は八分目
→腹八分目

●怒の後、早く食すべからず。食後、怒るべからず。食して憂うべからず
→良く噛み 楽しく食べる

●五味偏勝とは一味を多く食過すを云う。甘きもの多ければ、 腹はりいたむ。辛きもの過れば、気上りて気へり、瘡を生じ、眼あしゝ。
 鹹きもの多ければ血かはき、のどかはき、湯水多くのめば湿を生じ、 脾胃をやぶる。苦きもの多ければ脾胃の生気を損ず。 酸きもの多ければ気ちゞまる。
 五味をそなへて、少しづゝ食へば病生ぜず。諸肉も諸菜も同じものを つゞけて食すれば、滞りて害あり。
→五味とは、甘い、辛い、塩辛い、苦い、酸い、の5つの味で、これを一つの味にかたよらず、少しづつ食べていれば病気にならない。ということ

これらは現在にも通じているのです。

『五味偏勝とは一味を多く食過すを云う』→糖質に偏る食事すると

 グラフの灰色のラインは私の設定した血糖値80~120mg/dL≒4.4~6.6mmol/Lいわゆる正常な血糖値範囲です。

 下側のグラフは、通常は1日三食食べたとしても血糖値80~120mg/dLを超えることなくブルーの幅に入っています。

しかしそんな私でも、上側のグラフでは、前日より40時間絶食したのちに13時半に昼食でかつ丼+そばセット(ここでは敢えてかつ丼+そば負荷試験と言わせていただきます)で血糖187.2≒10.4とワーストを記録、 血糖値の大きな上昇を認めます。

 これもいわゆる血糖値スパイク(グルコーススパイク)と呼んでもいいと考えます。

食事
グラフ

なぜ通常時は血糖値、正常な人が、血糖値180以上なるのか?

●食事を抜いて、絶食状態からのドカ食い
 1日1食や2食より3食のほうが、かえって血糖値は上がらないことが多い絶食が続くとGLP1活性が低下するという報告もあり ⇒食抜きなく1日3食規則正しく食べましょう

●かつ丼(糖質多+脂質)そば(糖質多)で糖質過多
 糖質を短期間に、大量に吸収されることで『血糖値スパイク』が起きる
⇒糖質のみや糖質過多の食事は避け、副菜をいれバランスよく食べましょう

●食物繊維少ない、栄養のバランス悪い
 糖質以外のもの、できたら食物繊維の多いものを先にとることで『血糖値スパイク』を改善することができるが このメニューに食物繊維はあまりない
⇒なるべく食物繊維も一緒にとるようにしましょう

●固いものがなく、良く噛まずにすぐに食べてしまう
 良く噛むと、時間がかかりその分血糖値の上昇を抑えることができ、またより少ない量で満腹感を得られる 良く噛むことを(フレッチャー主義)ともいいます
⇒良く噛み、ゆっくり、時には硬いものを良く噛んで食べましょう

 実はかつ丼の脂質のせいもあり上昇した血糖値はいつもよりなかなか下がりません。これは糖質+脂質にて食後もしばらく血糖が落ちにくくなる傾向があるからです。

 このように江戸時代の養生訓は現代の食事、血糖値スパイクにも関係することが、最新の血糖測定器、フリースタイルリブレからもわかるのです。

港南台内科クリニック