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ツイミーグの使い方

 先日、「ツイミーグの使い方とメトホルミンとの併用・切替の意義を最近の研究から読み解く」というテーマで講演を行いました。

 その内容を簡単にまとめました。

ツイミーグとは

 糖尿病治療の基本薬であるメトホルミンは、インスリン抵抗性の改善や肝臓での糖産生抑制など、多彩な作用を持ちます。しかし、胃腸障害や乳酸アシドーシスのリスクから、特に高齢者や腎機能が低下している患者では使用に注意が必要です。

 こうした背景のなか登場したのが、ツイミーグ(一般名:イメグリミン)です。イメグリミンは、ミトコンドリア機能を介してインスリン分泌の促進とインスリン感受性の改善の“両方”に作用する、世界初のグリミン系薬剤として注目されています。

 当院での経験を提示しながら、他施設でまとめられたとてもよくできた下記の研究との類似点を見出しつつツイミーグの処方の方向性、将来性を話しました。

ツイミーグ

最近の臨床研究(2024年発表)

 Effects of Imeglimin Add-on or Switch to Metformin Therapy in Patients with Type 2 Diabetes Mellitus

■ 対象

 2型糖尿病患者73名(メトホルミン内服中)

 平均年齢や腎機能詳細は未記載ながら、高齢者も含む外来集団

■ 研究デザイン

 イメグリミンを「追加」投与した群(Add-on)

 メトホルミンから「切替」た群(Switch) をそれぞれ6ヶ月の後方視的観察研究した。

■ 主な結果と解釈

追加投与群

HbA1cは平均0.6%前後の有意な低下した。

グリコアルブミン(GA)も有意に低下した。

副作用に関しては重篤な低血糖や乳酸アシドーシスの報告はなし消化器症状もごく軽度であった。

既存のメトホルミン療法に対して、ツイミーグを加えることで、さらなる血糖改善が期待されることが明らかになりました。特に高齢者や多剤併用が難しい患者において、「効果が出やすく、かつ安全性が高い」という利点が示唆されます。

切替群(メトホルミン → ツイミーグ)

HbA1cは維持(大きな変動なし)した

一部で軽度の胃部不快感あり

GAもおおむね安定している

メトホルミンが使用困難な患者(腎機能や消化器症状など)に対する代替薬として、ツイミーグは有望であることがわかります。また、イメグリミンは肝代謝主体であり、腎機能低下時でも比較的安全に使用可能な点も重要です。

まとめ

以上の報告も踏まえて

      * ツイミーグの使用ではHbA1cの追加改善をはかりたい「追加投与」で有効であった。
      * また、メトホルミンの副作用(胃腸障害、特に軟便、下痢)が気になるとき「切替」で血糖コントロールを維持が期待できる。
      * 高齢・腎機能低下患者には乳酸アシドーシスリスクを避けつつ使用できる選択枝があるのではないかと思います。

今後の展望ツイミーグは、メトホルミンと同等、あるいはそれ以上の血糖降下効果をもちながら、より幅広い患者層に対応可能な薬剤として位置づけられます。今後は、腎保護作用や心血管アウトカムへの影響といった長期データの蓄積が期待されます。

港南台内科クリニック