掲載日: 2022-05-10
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糖尿病と高血圧の密接な関係

 厚生労働省の2014年患者調査によると、糖尿病患者さんは316万6千人、高血圧患者さんは1,010万8千人で、いずれも増加傾向にあると報告されています。そして、糖尿病患者さんの40~60%は、高血圧も合併していると言われています。

なぜ合併しやすのか?

 ではなぜ、糖尿病患者さんでは、高血圧を合併しやすいのでしょうか。糖尿病や高血圧は、食生活や運動習慣など生活習慣により引き起こされることが多い病気です。肥満やメタボリックシンドロームがあると、交感神経が緊張して、血圧を上げるホルモンが多く分泌されます。

 また、インスリンが効きが悪くなるため、すい臓からはたくさんのインスリンが分泌されますが、それがかえってインスリンが腎臓からのナトリウム排泄を減少させるため、血圧が高くなります。このように、糖尿病と高血圧は密接にお互いに関連しています。その他にも両方を引き起こすような遺伝的素因や内分泌疾患もあります。

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塩分の摂りすぎ

 高血圧は、心筋梗塞や脳卒中の重大な原因因子のひとつです。日本人では1970年代後半まで脳卒中が死亡原因の1位でした。この原因のひとつが食塩の摂取量が多いことだと言われています。

 塩分の摂り過ぎは高血圧を引き起こします。最近は、減塩に対する意識が高くなり、脳卒中による死亡も以前に比べると減少してきています。 しかし、欧米に比べると、日本人は塩分摂取量がまだまだ多く、そのため脳卒中もまだ多い状態です。

塩分

動脈硬化

 糖尿病も高血圧症もどちらも動脈硬化を進める(血管にプラークができることで詰まりやすくなる)病気です。 糖尿病の方は、糖尿病がない方に比べて2~3倍、心筋梗塞や脳卒中の発症率が高くなるのですが、そこにさらに糖尿病に高血圧が加わると、糖尿病、高血圧症のない方に比べて6~7倍になるというデータもあります。

 日本人においても2型糖尿病の方を対象にした研究で、脳卒中を引き起こす原因となる危険な因子としても、高血圧があげられます。さらにいうと特に収縮期血圧(上の血圧)の上昇が危険な因子であると指摘されています。 海外の報告でも、糖尿病の患者さんは糖尿病でない方に比べて、心筋梗塞や脳卒中などの心臓の血管やそのほか大きい血管の硬化、障害による死亡率が高くなります。

さらにいうと、血圧が高いほどその死亡率は高くなります。 また、高血圧は糖尿病合併症である糖尿病腎症を悪化させる重要な危険な原因因子であることも知られています。

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港南台内科クリニック