港南台内科クリニック

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肺炎球菌ワクチン

更新日2016-06-28
掲載日2015-05-20

 横浜市でも、成人の肺炎球菌ワクチンが定期予防接種になりました。対象年齢が65歳から70歳、75歳と5歳きざみです。

 その肺炎球菌ワクチンには、現在日本で2種類あるのはご存知でしょうか?1つは主に高齢者に使用され、公費の対象となっているニューモバックス。 もう1つは小児から適応拡大され、65歳以上の高齢者にも接種が認められている、プレベナー。 自費であれば、両方とも接種することができます。

 では自費の場合ならどちらがよいのか?すでに公費で打っている方の場合、2種類接種が必要なのでしょうか?

 と…その前に、まずは肺炎球菌について簡単に説明します。

詳しくはこちらを >>

 肺炎球菌は約3~5%の高齢者の鼻や喉の粘膜などに、常在している細菌ですが、これらの菌が何らかのきっかけで、気管支炎、肺炎、敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。特に、肺炎は死因の第3位を占め、うち97%は65歳以上が占めています。また糖尿病など基礎疾患がある方はさらに肺炎になりやすくなります。肺炎球菌は細菌です、基本的には抗生物質が有効です。

 では抗生物質があるから、ワクチンで予防しなくても大丈夫ではと思う方がいるかもしれません。しかし最近、抗生物質が効きにくい肺炎球菌が増加して問題となっています。 肺炎球菌ワクチンはこのような薬剤耐性肺炎球菌にも効果があり、患者さんへの負担も少なく、医療経済的にも、よりメリットがあると考えられています。 また肺炎より、フレイルとなり介護が必要な状態(寝たきり)になる観点からも、肺炎の予防が注目されています。(介護に至る疾患を参照)

 (※肺炎による治療費:外来では3万5千円程度、入院では30万円程度)肺炎球菌には約90種類の型があり、 その中で肺炎や髄膜炎などの原因になりやすい型を選び、 その成分をワクチンにしています。その成分の違いなどにより、ワクチンが2種類存在しているのです。

ここからは、ワクチンについて詳しく説明します

  ニューモバックス プレベナー
対応する型 23種類 13種類
持続効果 弱い 強い
鼻や粘膜への定着防止 なし あり
ブースター効果 なし あり
値段 65歳以上は公費可
脾摘は保険で接種可能
自費:7,000円
自費:1万円

上の表より、一見するとニューモバックスのほうが、対応する範囲は広い印象ですが、実はプレベナーと比べると、効果としては劣るのです。ニューモバックスの構造上、鼻や口の粘膜への付着を防ぐ効果がないため、中耳炎や咽頭炎、副鼻腔炎などの予防効果はないのです。 有効性があるのは23種類のタイプの肺炎のみで、その中でも血液中にも細菌が入り込むような重症のタイプの肺炎(侵襲性肺炎球菌感染症:IPD)にしか効かないとされています。そのような重症になるタイプは、肺炎球菌による肺炎のうち2-3割程度しかありません。

プレベナーについて

 プレベナーは、人工的にタンパク質をくっつけていることで、肺炎球菌に対する免疫が記憶されるため、感染しても再び免疫が反応して、肺炎球菌による感染症の発症から予防します(これをブースター効果と呼びます、下記の図を参照)。

 この作用のため、ニューモバックスより持続効果が期待できるのです。 さらに、感染そのものを予防できるという点で、血液まで菌が入り込まないような普通の肺炎にも効果があります。

 また、粘膜への付着を防ぐ効果もあります。以上より、結論から申し上げると、自費で接種する高齢者には現時点ではプレベナーをお勧めします。

詳しい投与スケジュールについてはこちらを >>

 尚、厚生労働省とアメリカ疾病対策センター(CDC)の情報は以下のようになっています。
【厚生労働省】 Q&Aにはプレベナーを定期接種にするかどうかは、今後の検討予定となっています。
【アメリカ疾病対策センター(CDC)】 はじめて肺炎球菌ワクチンを打つ方には、まずプレベナー(PCV13)を接種することを推奨しています。更にその6-12ヶ月後にニューモバックス(PPSV23)の接種を薦めています。
Adults who are 65 years of age or older and who have not previously received PCV13, should receive a dose of PCV13 first, followed 6 to 12 months later by a dose of PPSV23.

当院のワクチン接種手順

これから初めて肺炎球菌ワクチンを接種する高齢者で65歳以上の方

プレベナーを先に接種☞6~12か月以上あけてニューモバックスを接種
※最低の間隔は8週

65歳以上でニューモバックスを接種したことのある方

ニューモバックスから1年以上あけてプレベナーを接種

 しかし、実際定期接種のスケジュールも加味すると、下記のような順番にするのが現実的です。ニューモバックス接種は初めての方は、公費で補助が出ます(プレベナーを打った後でもニューモバックスは初めての方は公費適応です)ですので、なるべくニューモバックスは公費で打つようにすると良いでしょう。そうすると以下になります

2種類の肺炎球菌接種の具体例

いままで、肺炎球菌ワクチンを打ったことない65歳以上の人で

A.定期接種の歳に今年、もしくは来年なる人
⇒まずはニューモバックスを定期接種 その後プレベナー
B.定期接種の歳までまだ2年後以上ある人
⇒まずはプレベナーを自費で打ち、
その後定期接種を待ってニューモバックス

いままで、ニューモバックス打ったことのある人

⇒次はプレベナーをお勧めします。

いままでプレベナーを打ったことのある人

⇒次はニューモバックスをお勧めします

※ただし、日本ではプレベナーは定期接種ではありませんので、1万円の実費接種になります。
【接種する時期】季節を問わず接種できます。早めの接種で免疫をつけておくことが大切です。

!注意!

過去に肺炎球菌ワクチンを接種したことがある方は、前回接種した時期を必ずお知らせください。
【副反応】ワクチン接種後にみられる副反応には、接種部位の症状(痛み、赤み、腫れ、接種した腕の動きの制限など)、筋肉痛、疲労、頭痛などがあります。そのほかにも気になることがあれば、ご相談ください。

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